相続不動産を売却した場合にかかる税金について
県外にお住いの相続人が、父親が住んでいた住宅を相続したとき、当然相続人は居住しませんので空家になります。売却した場合、その売却に対してかかる税金についての解説をいたします。
目次
1.はじめに
2.相続人が取得した不動産を売却した場合
①原則:不動産売却時の利益に税金がかかります。
➁譲渡所得の税率
③特別控除
㋐マイホーム3000万円控除
㋑被相続人の居住用財産の3000万円特別控除
3.まとめ
1.はじめに
不動産を売却した場合、譲渡所得税がかかります。売却利益の20%から短期所有ですと39%の税率となっております。
また、居住している方が売却した場合、マイホーム3000万円控除の適用があります。
さらに、居住者が亡くなり当該不動産を取得した相続人が売却した場合、一定の要件を満たした場合には、被相続人の居住用財産の3000万円特別控除を受けることができます。
2.相続人が取得した不動産を売却した場合
①原則:不動産売却時の利益に税金がかかります。
㋐不動産を売った利益(譲渡所得)に対して所得税・住民税がかかります。
㋑収入金額(売却代金)-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得 で求めます。
㋒そして、譲渡所得に対して約20~39%の税金をよく年支払うことになります。
㋓取得費について:購入費や建築代(減価償却費相当額を差し引く)となります。
※当該不動産を買ったときの売買契約書・領収書を保管しておくことが重要です。
もし、これらを紛失・金額がわからない場合には、売却金額の5%となるので注意が必要です。
㋔譲渡費用について:仲介手数料、契約書の印紙代等がこれにあたります。
➁譲渡所得の税率
㋐所有期間が5年を超えている場合:譲渡所得の20%(所得税15%、住民税5%)
㋑所有期間が5年以下の場合:譲渡所得の39%(所得税30%、住民税9%)
㋒不動産を相続した場合、所有期間を引き継ぐことができます。
㋓平成25年から令和19年までは、復興特別所得税が加算されることになります。
※復興特別所得税とは、「所得税×102.1%」となっております。
③特別控除
「収入金額(売却代金)-(取得費+譲渡費用)―特別控除額=譲渡所得」
この特別控除には以下のものがあります。
㋐マイホーム3000万円控除
(要件)
(1)自分が居住している家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
※以前住んでいた家屋・敷地等の場合には、住まなくなってから3年後の年末までに売ること。
(2)売却した年の前年及び全前年にこの特約やマイホーム買換え特例を使っていないこと。
(3)売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
相続登記の際に、実際に住んでいる人の名義にすれば、マイホーム3000万円控除が使える可能性が出てきます。具体的な税務相談は、税理士にご相談ください。
㋑被相続人の居住用財産の3000万円特別控除
(要件)
(1)相続により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売却すること。
(2)一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除できる。
(家屋の要件)
(1)相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋
※老人ホームに入所していた場合の例外があります。
(2)昭和56年5月31日以前の家屋
※譲渡時において一定の耐震基準を満たすもの
(3)区分所有建物(マンション)以外の家屋
(4)相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
(5)相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されたことがないこと(空き家であったこと)
(家屋を取り壊して土地を売却する場合の要件)
(1)家屋について:相続の時から取り壊し等の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されたことがないこと
(2)敷地について:相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されたことがないこと
(3)敷地について:取り壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されたことがないこと
(その他の要件)
(1)相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
(2)売却代金が1億円以下であること
基本的には、被相続人の居住用財産の3000万円特別控除はハードルが非常に高いため、利用時によく税理士と相談してください。
3.まとめ
不動産を売却して売却益が出た場合、譲渡所得税がかかります。
マイホーム3000万円控除は、相続人が相続財産である不動産に居住している場合に使えます。
被相続人の居住用財産の3000万円控除は、ハードルが厳しいので要件に当てはまるのか、利用前に税理士に相談することをお勧めいたします。