相続放棄:遺産を誤って受け取ってしまった!
目次
1.相続放棄をする際の注意点
2.相続放棄をした後に、遺産を受け取った場合
3.どのような行為がみなし単純承認となるのか
4.相続放棄した後で受け取れなくなる財産
5.相続放棄を予定していたのに誤って受け取ってしまった場合
6.相続放棄をしても受け取れる財産とは
7.まとめ
1.相続放棄をする際の注意点
相続放棄は、法定された申請を家庭裁判所に提出することで手続きが開始されます。そしてその手続きができる期間も法定されており、「自己に相続があったことを知ったときから、3か月以内」にする必要があります。
2.相続放棄をした後に、遺産を受け取った場合
相続放棄をした場合、遺産を受け取ることはできません。相続放棄の効果は、法的に見て、相続放棄をした相続人は、はじめから相続人ではなかったものとして扱われます。つまり、相続人としての権利や義務が消滅し、遺産を受け取ることはできません。
しかし、相続放棄の効力が発生する後に、誤って遺産を受け取ってしまった場合は、相続放棄が無効となり、遺産を受け取ったとみなされます。(民法921条 法定単純承認 いわゆる「みなし単純承認」)
この場合、遺産を返還する必要があります。
3.どのような行為がみなし単純承認となるのか
相続人が相続財産の全部あるいは一部を処分すると、法的に相続を承認したものとみなされ、相続放棄できなくなることは先に述べました。具体的には、
①相続財産である不動産を譲渡した
➁相続財産である動産(貴金属、車など)を売却した
③被相続人の現金や預貯金を自分のために使った
といった場合が挙げられます。
4.相続放棄した後で受け取れなくなる財産
①被相続人の現金、預貯金
➁被相続人が所有していた株式、債券、不動産、動産など
③受取人が被相続人と定められている保険金、共済金
※受取人が被相続人でなく、相続放棄をした人であれば、受け取ることができます。保険金は、相続財産ではないためです。しかし、相続税を計算する際には、「みなし相続財産」として、控除額を超える部分について、相続財産として加算されます。
④被相続人が納付した税金や保険料、年金のうち過払で還付されるもの
※被相続人が亡くなった後、生前分の年金は相続財産なのでしょうか?
結論から申しますと、被相続人の死亡後に支払われる未支給年金は相続財産にはあたらず、受け取った相続人の一時所得となります。
つまり、被相続人に関連する財産は、受け取ることはできません。受け取ると、「みなし単純承認」となり、相続放棄ができなくなります。
5.相続放棄を予定していたのに誤って受け取ってしまった場合
相続放棄を予定しているにもかかわらず、何らかの事情でこれらの財産を受け取ってしまったときは、安易にしようあるいは処分せず、相続が終わるまで他の相続人にもわかる状態で保管しておきましょう。そして、自分は相続放棄をしているので、受け取った財産については、他の相続人に渡してください。
6.相続放棄をしても受け取れる財産とは
財産の中には、相続放棄の手続きをしても受け取れるものがあります。
以下の財産は相続財産ではないので、受け取った場合でも後で相続放棄をすることも可能です。
①香典
➁被相続人が受取人に指定されていない死亡保険金
③被相続人が受取人に指定されていない死亡退職金、未払い給与
④被相続人が加入していた健康保険から受け取る葬祭費
➄遺族年金
⑥仏壇や神棚殿祭祀関連の財産
などが挙げられます。
7.まとめ
相続放棄をしても受け取れる財産か否かの判断について、土の財産を受け取ったときに法定単純承認になってしまうのかについては、状況によっても異なってきます。
誤って法定単純承認となる財産を受け取ったり処分したりしてしまうと、相続放棄ができなくなることがあります。相続承認や相続放棄は撤回できませんので、もし受け取る財産が受け取ったも問題ないか悩んだ場合には専門家に相談するようにしましょう。