香川県の相続手続きで、見落としがちな"落とし穴"に気づいていますか?登記・相続税・遺産分割で後悔しないために、香川県 高松市の司法書士・税理士による無料相談会(毎月第3水曜開催)でプロに相談しましょう。90分対応・完全予約制。
相続土地国庫帰属制度のお問い合わせ

相続土地国庫帰属制度が、令和5年4月27日より開始されました。不要な土地について、管理料を支払って国に管理していただく制度になります。先日、相談者様からこの「相続土地国庫帰属制度」についての問い合わせがありました。まだまだ、検討する余地がある相談内容でしたが、再度、制度概要について解説をしながら、詳細内容について見返す機会がありましたので、もう一度解説したいと思います。
目次
1.相続土地国庫帰属制度とは
2.どのような土地が引き取ってもらえるのか
3.この制度を利用する場合の流れ
4.承認申請の却下事由
5.申請の内容に偽りがあった場合や、不正をした場合
6.まとめ
1.相続土地国庫帰属制度とは
2021年4月に成立した法律です。 相続又は遺贈によって土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を手放して、国庫に帰属させることができる制度です。
つまり、「相続した不要な土地の所有権を国に対して返すことができる制度」です。
2.どのような土地が引き取ってもらえるのか
なんでもかんでも引き取ってくれるわけではなく、一定の要件があります。
結論から言うと「抵当権等の設定や争いがなく、建物や樹木等がない更地」です。通常の管理や維持に必要以上の費用や労力を要する土地に関してはだめというわけです。
それでは、具体的な該当してはいけない要件についてみていきましょう。
①建物がある土地
➁担保権又は使用収益及び収益を目的とする権利が設定されている土地
③通路など他人によって使用されている土地
④土壌汚染対策法に規定する特定有害物質で汚染されている土地
➄境界が明らかでない土地、その他所有権の存否、帰属や範囲に争いのある土地
⑥崖のある土地など、通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要する土地
⑦工作物や樹木、車両が地上にある土地
⑧除去が必要なものが地下にある土地
⑨隣接する土地の所有者などと争訟をしなければ使えない土地
⑩その他、管理や処分をするにあたり過分の費用又は労力がかかる土地
になります。建物や樹木、放置車などある場合、とりあえず撤去しなくてはいけません。
上記10項目すべてに該当しなければ、晴れて本制度を利用することができるわけです。
3.この制度を利用する場合の流れ
①現地併記、隣の土地との境界がわかる部分など、様々な角度から写真を撮る
➁土地の所在地がわかる地図を作る
③法務局に予約して、承認審査の見通しについて相談する
④印鑑証明書・地図・写真・名義変更承諾書
※相続未登記の場合、戸籍一式・遺産分割協議書等
任意で添付する書面として「固定資産税評価証明書」「承認申請土地の境界等に関する資料」です。
を申請書類に添付して法務局に申請
※審査料は1筆1万4000円(不承認の場合でも返却されません)
➄法務局が現地調査等を行うことになり、審査期間は半年から1年
⑥審査で承認された場合、1筆20万からの負担金を納める
原則:20万円
例外:市街化区域・用途地域内の宅地・農地
青地・土地改良事業区域内の農地
森林
※例外の負担金の額は算定式が法務省HPに示されていますので、そちらを参照してください。
※負担金の通知が到達した翌日から30日以内に納入しない場合には、承認は失効します。この場合、再度初めから申請手続きをしなければならなくなりますので注意が必要です。
⑦国が当該土地を引き取り、名義変更をする
4.承認申請の却下事由
①承認申請の権限のない人からの申請の場合
➁要件に該当しない土地、申請書や添付書類、負担金の規定に違反している場合
③事実の調査に協力しない場合
となっています。
5.申請の内容に偽りがあった場合や、不正をした場合
当然に承認は取り消されます。また、それにより国が損害を受けた場合には、損害賠償を請求される場合もありますので、くれぐれも虚偽の申請などはしないようにしてください。
6.まとめ
令和5年4月27日から始まった「相続土地国庫帰属制度」ですが、対象は「相続又は遺贈」により取得した土地になります。該当する土地で、売却ができず放置してしまう可能性が高い場合には、当該制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
今回のご相談は、県外の土地であったため、その件に住む司法書士に繋ぎました。


最新のブログ記事
(第1回)なぜ今「相続登記」が話題なのか?義務化の背景と基本を押さえよう
2024年4月1日から、相続登記が法律で義務化されたことをご存知でしょうか?
「今まで放置していたけど、これってマズいの?」「そもそも登記って何?」と不安に思われている方も多いのではないでしょうか。
【第2回】他人の物差しで生きない勇気──あなたの「正解」は他人とは違っていい
現代社会では、「正解」があらかじめ決まっているかのような風潮があります。学歴、収入、職業、結婚、マイホーム…。それらを満たしてこそ「成功」と見なされ、そこから外れると「負け組」とラベルを貼られる。しかし本当に、他人と同じ価値観の中で生きなければならないのでしょうか?この記事では、「他人の物差しに縛られて苦しい」と感じている方へ向けて、自分自身の価値観を取り戻すためのヒントをお伝えします。
【第1回】「世の中がおかしい」と思える自分を信じる──違和感は生きる力の証
昨今の日本社会では、政治への不信感、経済格差の拡大、将来の不安など、暗いニュースが続いています。自殺者数や失業者数の増加も深刻な社会課題となっており、もはや「自己責任」と一言で片づけられる時代ではなくなりました。この記事では、「この社会はどこかおかしい」と感じている方に向けて、その違和感こそが健全な感性であり、生きる力の根源であるという視点から、希望を持って生きていくための第一歩を探っていきます。