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法定後見申立の手続き

最近、お問い合わせの多い法定後見人の選任の申し立てについて解説いたします。任意後見とは異なりあらかじめ公正証書による契約で行うのではなく、ご本人に後見が必要となった場合、家庭裁判所への申し立てにより手続きを行うこととなります。
目次
1.法定後見制度
2.申立人は誰になるのか
3.申立に必要な書類
4.申立書に記載する後見人の候補者
5.司法書士に依頼した場合の報酬など
1.法定後見制度
法定後見制度とは、認知症や精神上の障がい等により意思能力が不十分な人に対して適用される保護制度のことです。程度により「後見」「保佐」「補助」の3種類に分類されます。今回は後見人についてお話を進めます。
家庭裁判所への申立てによって選ばれた後見人が、本人の代わりに財産や権利を保護する役目を担います。
高松家庭裁判所の場合、成年後見人用DVDを見ていただいた後に、説明資料や必要書類を一式(成年後見申立セット)を渡されます。チェックリストを利用して必要書類等の準備を行い、家庭裁判所受付センターに出向きます。後日、担当書記官から連絡が来ますので、日程を確認の上、来訪します。家庭裁判所調査官等が、申立書に記載されている内容について直接申立人や候補者から確認をします。その他、本人と直接面談したり、必要に応じて親族に対して意向照会書を送付するなどします。以上の内容を総合的に検討し審理が行われます。その後、必要書類がすべて整い、鑑定手続きや候補者の確認等が順調に進む標準的なケースであれば、申し立てから1か月から3か月程度で審判が出ます。
※審判書受領後2週間(即時抗告期間)経過で、審判が確定します。
後見人の選任、報酬及び後見人制度支援信託・支援預貯金契約の締結については、不服申し立て(即時抗告)の規定はありません。ですので、候補者を親族の誰かとしたのに、弁護士・司法書士が選任されたとしても、即時抗告の対象とはなりません。

2.申立人は誰になるのか
成年後見の申し立てができるのは、「本人」「4親等内の親族などが該当します。民法上「親族」とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族(配偶者側の親族)を指していますので(民法725条)、申し立てができる親族とは、4親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族ということになります。
3.申立に必要な書類及び費用
(申し立てに必要な費用)
①申立手数料:収入印紙800円分(保佐・補助で代理権・同意見の付与各800円)
➁後見登記手数料:収入印紙2600円分
③郵便切手(後見開始:3700円、保佐・補助4700円)
※令和5年7月5日現在 詳しくは、家庭裁判所HP参照
(必要書類)成年後見についての必要書類となります。
①申立書
➁申立事項説明書
③親族関係図
④存続の意見書
➄後見人等候補者事情説明書
⑥財産目録
⑦収支予定表
⑧登記されていないことの証明申請書
⑨診断書・診断書付票
⑩本情報シート
4.申立書に記載する後見人の候補者
家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で成年後見人を選任します(民法第843条第1項)。この審判開始の申し立ての際に申立人は後見人等の候補者を立てることができます。
ただし、候補者の立場により、「利益相反」の関係となるものは避けましょう。例えば、入所している施設の職員なんかは、利益相反の関係となってしまいます。家庭裁判所の判断に基づき、上記の例のように利益相反にあたるとされた場合は原則として選任されません。
後見人等候補者を検討するにあたって、ご本人と成年後見人等の関係性について十分に注意する必要があります。
また、先にも書きましたが、後見人選任については、不服申し立て(即時抗告)できませんので、よく考えて候補者を立てるようにしましょう。
5.司法書士に依頼した場合の報酬など
司法書士へ成年後見人の選任申立代行を依頼すると、相場から言いますと10万円前後の報酬がかかります。弁護士の場合には、大体20万円です。弁護士・司法書士が行うのは、「代行」です。代理で全部任せてできる手続きではありません。上記の通り、場合によっては、ご本人の出頭が必要な場合もあります。ご注意ください。
また、費用をそんなにかけたくない方は、高松家庭裁判所では、DVD閲覧後に申請書類一式を渡してくれますので、インターネットなどを参照にしながら申し立て書類の作成が可能かと思われます。どうしても、解らない方は、アイリスで書類作成サポートいたしますが、代行報酬がかかります。
また、親族の方を候補者としていたのに弁護士・司法書士が後見人に選任された場合、この方にも月2万円から6万円(財産規模による)の報酬が発生いたします。

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