相続でお困りですか? 登記と税金の悩み、その場で無料解決!
令和6年10月23日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
全員相続放棄をした場合、相続財産の管理義務は利害関係人からの申し立てがあるまで、管理義務が継続します。この管理義務を免れるためには、相続人から相続財産管理人を選任を家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。その時支払う「予納金」が必要です。数十万円から百万円ほどになります。利害関係人からの申し立てもなく、相続人からの申し立てもない場合、相続財産である自動車の処分を勝手にしてもいいのかについて考察してみました。
目次
1.全員相続放棄した後の亡くなった方の財産の管理
2.「自己の財産におけるのと同一の注意」義務を免れるためにすべきこと
3.管理責任を無視して勝手に車を処分等した場合
4.相続債権者からの相続財産管理人の申し立てがある場合
5.相続財産管理人の選任申立ての手間と費用
6.相続財産管理人の選任をしなくてもいいケース(一般論で自己責任で)
7.最後に
1.全員相続放棄した後の亡くなった方の財産の管理
相続人が全員相続放棄をした場合、それで終わりということはありません。民法では次のように定めています。
民法940条
「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」
つまり、善管注意義務(大切に保管しておくこと)まではしなくてもいいですが、「自己の財産におけるのと同一の注意」して保管する義務が課せられます。いったいどうすれば、この「自己の財産におけるのと同一の注意」義務を免れることができるのでしょうか。
2.「自己の財産におけるのと同一の注意」義務を免れるためにすべきこと
この管理責任を免れるためには、「相続財産管理人」を裁判所に選任してもらい管理権を移行して処分等してもらう必要があります。これが終わるまでは、相続放棄をした相続人に管理責任は残ります。(車を保管しておかなければならないことになります。)
3.管理責任を無視して勝手に車を処分等した場合
車を保管するにもコストがかかります。自宅の庭なら置いておけばいいのですが、駐車場を借りている場合などには費用が発生します。このような場合、この車を勝手に処分した場合どのようになるのでしょうか。
もし、この車を廃車にしたり売却した場合、「相続財産の処分」とみなされてしまいます。このような場合、たとえ相続放棄後であったとしても、単純承認(亡くなった方の財産も負債もすべて引き継ぐということを認めた)とみなされる可能性があります。負債が多くて相続放棄をしたのに、勝手に処分をすると負債を相続人として引き受けたものとみなされてしまうのです。せっかく相続放棄をしても、意味がなくなってしまいます。
4.相続債権者からの相続財産管理人の申し立てがある場合
亡くなった方に負債も多いが不動産などの財産も多い場合、相続債権者からの申し立てがあるかもしれません。しかし、今回のケースのように、亡くなった方の財産が自動車しかない場合などは、相続債権者からの申し立ては、あまり期待できないでしょう。
5.相続財産管理人の選任申立ての手間と費用
相続財産管理人に選任されるのは、「弁護士」「司法書士」といった専門家が就任することが多いです。一定期間、法定の手続きに沿って働いてもらう費用として、選任申立ての際には、裁判所に「予納金」を支払うことになります。その金額は、「数十万円から百万円以上」かかる場合もあります。これを相続人の方で負担するのは、少ししんどいですよね。ご相談される方にも、「借金が多いから相続放棄したのに、車の管理義務を逃れるために数十万円も支払うのはどうしたものか。」というご質問がありますが、法律上は「相続財産管理人の選任」は必要なのです。
6.相続財産管理人の選任をしなくてもいいケース
このケースについてご説明する前に、原則は「相続財産管理人の選任申立て」が原則であることと、実際にする場合には「自己責任」になりますのでご了承ください。
①車にローンがある場合でディーラーローンを組んでいるケース
ディーラーローンの場合、車検証を確認していただくとディーラー名義になっている場合があります。この場合には、所有者はあくまで「ディーラー」になりますので、ディーラーに車を引き取ってもらえばいいと思います。
➁車に金融機関のマイカーローンがある場合
この場合は、所有者は「亡くなった方」ですので「相続財産管理人の選任申立て」が必要になります。
③車にローンがなく、財産的価値がない場合
財産的価値がない車とは、査定額がゼロや、新車購入した場合でも5年以上経過した車は一般的に財産的価値がないと考えられます。(昨今の半導体不足で値段が上昇しているので査定をしてもらうことが大事)こういった車は財産価値がないので廃車等処分しても財産の処分にはならないという見解が有力です。ただし、有力であるので実際に認められるかどうかはわかりません。
注意点として、自動車税を滞納している場合では廃車処分ができないので、「相続人のポケットマネーから滞納している税金を支払う」ことが重要です。相続財産から出してしまうと相続財産の処分をしたとして単純承認したとみなされてしまうからです。
④車にローンがなく、財産的価値がある場合
当然、財産的価値があるので勝手に廃車等処分した場合、財産の処分に当たるので単純承認のリスクがあります。
保管しておくだけでコストがかかりますし、車の場合、放置していても財産的価値は下がりますので、「管理責任義務違反」になるかもしれません。また、売却換価して金銭として保管しておく方法もあります。この場合も、何社か査定をとり、「売却の必要性や売却価格の妥当性など資料を用意して債権者に説明できるようにしておくこと」が大事です。
7.最後に
予納金は必要ですが、単純承認とみなされるリスクを避けるためにも「相続財産管理人の選任」をした方がいいでしょう。
令和6年10月23日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
土地の合筆や分筆を行った際の登記識別情報(いわゆる「権利証」)の取り扱いについて、詳しく説明します。土地を処分する際に、売主は、権利証又は登記識別情報を用意しなければなりません。合筆・分筆がなされた土地の場合、どのタイミングのものが必要になるのでしょうか?
土地の合筆・分筆は、不動産管理や相続対策など、さまざまな状況で利用される重要な手続きです。これらの手続きは、土地の形状や利用目的に応じて、複数の土地をまとめたり、ひとつの土地を分けたりするものです。ここでは、合筆と分筆について詳しく解説し、それぞれのメリットや手続きの流れ、注意点について説明します。
相続の際、法定相続分に従って財産が分配されるのが一般的ですが、相続人の中には、被相続人(亡くなった方)の財産形成や維持、または療養看護に特別な貢献をした者がいることがあります。このような場合、その貢献に応じて相続分が増額されることがあります。これを「寄与分」と言います。また、相続人ではない親族が特別な貢献をした場合、相続人から特別な報酬を請求できる「特別寄与料」という制度も存在します。本稿では、寄与分と特別寄与料についての解説と、それらが認められるための要件について詳述します。