相続でお困りですか? 登記と税金の悩み、その場で無料解決!
令和6年10月23日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
所有しているだけで負の不動産になっているものを負動産と呼ばれています。所有者不明の土地だけに関していえば、九州の面積に匹敵するぐらいのものがあるそうです。今後、こういった負動産を活用できる形にするための法整備が進んでいます。これらをまとめて解説していきます。
目次
1.負動産発生のメカニズム
2.負動産を放置することによるリスク
3.近年の法改正による負動産対策
4.まとめ
5.追記
1.負動産発生のメカニズム
負動産とは、価値が減少する傾向にある不動産のことを指します。負動産が発生するメカニズムは以下のようなものがあります。
①地価の下落:不動産価格は、地価に依存しています。地価が下落すると、その地域の不動産価格も下落する可能性が高くなります。地価が下落する原因としては、不況や過剰な供給などが考えられます。
➁建物の老朽化:建物が老朽化すると、修繕や改修が必要になります。修繕費用がかさむ場合や、改修が難しい場合には、不動産の価値が下落する可能性があります。
③周辺環境の悪化:不動産の価値は、周辺環境にも依存しています。周辺環境が悪化すると、その地域の不動産価格も下落する可能性があります。例えば、騒音や公害、治安の悪化などが挙げられます。
④法規制の変化:政府の法規制が変化すると、不動産の価値にも影響を与えることがあります。例えば、建築基準法の改正や地価税の見直しなどが挙げられます。
これらの要因が重なることで、不動産の価値が減少し、負動産が発生することがあります。
これらに加えて、「相続登記の放置」も原因の一つと考えられます。あまりにも長い期間放置してしまいますと、当初の相続人にさらに相続が発生してしまい、権利関係が複雑になってしまうからです。
2.負動産を放置することによるリスク
負動産を放置することによるリスクは以下のようなものがあります。
①価値が下落する可能性がある:負動産は、不動産市場で売却することができても、その価格が元の購入価格よりも低くなる可能性が高いです。価値が下落することで、投資元本が回収できなくなる可能性があります。
➁維持費用がかかる:負動産を放置することで、建物や敷地の維持費用がかかることがあります。建物が老朽化している場合は、修繕や改修費用がかさむことがあります。また、空き家になっている場合は、管理費用や固定資産税などの費用がかかります。
③周辺環境の悪化:負動産が周辺環境の悪化の原因となることがあります。建物が放置されている場合、周辺住民にとっては目障りな存在となり、治安や衛生面の問題を引き起こすことがあります。
④規制違反のリスク:負動産を放置していると、建築基準法や建築物維持管理法などの法律に違反する可能性があります。違反が発覚すると、罰金や強制的な解体命令などの法的措置を受けることがあります。
以上のようなリスクがあるため、負動産を放置することは避けるべきです。負動産を放置している場合は、早期に売却や解体などの対策を行うことが重要です。
とはいえ、①から➄に共通して言えることは、「放置された負動産」の権利関係を特定することが非常に困難になっている場合が多いです。権利関係を調査するにも多額の費用を要する場合があります。仮に、権利関係が明確になっていても、建物老朽化に対する維持管理費用が支払えずに放置しているケースもあります。一人暮らしをしていた父親の建物は既に傷みが激しいから、リフォームか取り壊して土地だけでも売りたいが、「旗地」で、建築基準法上建て替えの規制が厳しく断念したというケースもありました。
3.近年の法改正による負動産対策
(画像)
今後、負動産対策の法令が増えるかもしれませんが、現状、確認できる関連法は以上の通りです。
4.まとめ
空き家問題は、他人事ではありません。少子高齢化が進み、相続する不動産があった場合、子供の数が減少している状況では、相続しても不要となってしまっている不動産も実際多く存在します。行政も対応しているのですが、本来、所有者がある不動産は、その所有者に責任があります。相続登記を放置することで、ある日、自分が負動産を相続する可能性もあります。
放置は解決策にはなりません。放置はさらなる被害を周辺に及ぼす可能性があります。早めの専門家や行政への相談をお勧めいたします。
5.追記
所有者不明土地(建物)管理命令・管理不全土地(建物)管理命令について、民法条文を確認すると以下の通りです。
「(所有者不明土地管理人の権限)
第二百六十四条の三 前条第四項の規定により所有者不明土地管理人が選任された場合には、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産(以下「所有者不明土地等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する。
2 所有者不明土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為」
「(管理不全土地管理人の権限)
第二百六十四条の十 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産(以下「管理不全土地等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。
2 管理不全土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 管理不全土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
3 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。」
以上のように、財産管理人を選任申し立てをした後、その財産管理人と交渉して、裁判所の許可を条件に隣地を買い取ることができるため、いろいろと考えて本制度を利用しようとする方もいらっしゃると思います。
管理不全の場合は、所有者が明確に存在するので、隣人(利害関係人として)からのご依頼でも受けることはできるのですが、所有者不明の場合は、登記簿から現所有者名義の方を探し出し、そこから戸籍をたどるのですが、相続人がいた場合、そこからの調査は難航します。仮に、市役所で全員相続放棄していることをつかんでいても、相続放棄した番号がわからなければ、これ以上は踏み込めません。直接相続人に連絡をした場合、トラブルとなり懲戒請求される恐れもあるからです。市役所は、特別な権限があるため照会をすることが可能ですが、一切情報はいただけません。ですので、現状アイリスでも本制度を活用した案件はございません。
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