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令和6年12月18日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
相続登記をする場合、登録免許税の計算は、固定資産税評価証明書に記載の価格に1000分の4を乗じることにより算出します。しかし、その評価額が0円の土地がある時、評価しないで相続登記はできるのでしょうか。結論はできません。それでは、各地目の種類ごとに見ていきたいと思います。
目次
1.評価のない土地の評価額の算出
2.各地目による登録免許税の算出
3.まとめ
4.まとめ2
1.評価のない土地の評価額の算出
不動産の所有権の名義を変更するには、登録免許税という税金が課されます。この登録免許税の課税標準は、固定資産税評価の価格となります。ですので、固定資産税の価格についてみていきますと
「(固定資産税の非課税の範囲)
第三百四十八条第2項
固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に課することができる。
(省略)
三 宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法人令の規定による宗教法人のこれに相当する建物、工作物及び土地を含む。)
四 墓地
五 公共の用に供する道路、運河用地及び水道用地
六 公共の用に供する用悪水路、ため池、堤とう及び井溝
七 保安林に係る土地(森林の保健機能の増進に関する特別措置法第二条第二項第二号に規定する施設の用に供する土地で政令で定めるものを除く。)
(省略)」
①宗教法人所有不動産について
以前、宗教法人建物の所有権移転をした際に、役場に固定資産税の価格を問い合わせたところ、建築当時から上記法令を根拠に非課税であるので、価格を定められていませんでした。ですので、近傍の同種の建物価格から、価格決定をしていただきました。(高松市以外)
➁墓地
墓地は登録免許税法第5条第10項により非課税の取り扱い。
③公衆用道路・用悪水路
こちらは、法務局に「評価のない土地の課税標準価額の認定請求書」を提出して決めていただきます。
④保安林
こちらの取り扱いが、ネットで調べてみると2通りあることがわかりました。一つ目は、公衆用道路と同じく法務局に「評価のない土地の課税標準価額の認定請求書」を提出し近傍宅地の価格を証明していただく方法。そしてもう一つが、隣接の山林の価格を役場に証明していただく方法です。どちらも正しいのですが、各法務局により、取り扱いが異なるみたいですので、最寄りの管轄法務局にお問い合わせしてください。
※高松法務局では、保安林や山林は、「近傍類似地」での評価で、公衆用道路のように100分の30を乗じません。
※保安林とは、水源の涵養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等、特定の公益目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林です。保安林では、それぞれの目的に沿った森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の形質の変更等が規制されます。(林野庁HPより抜粋)
2.各地目による登録免許税の算出
さて、いよいよ登録免許税計算の話になるのですが、以下の4種類の方法があります。
①近傍宅地の㎡単価をそのまま使う
➁近傍地・隣接地の㎡単価をそのまま使う
③近傍宅地の㎡単価に30/100を掛けた金額を使う
④近傍地・隣接地の㎡単価に30/100を掛けた金額を使う
法務局に提出する「評価のない土地の課税標準価額の認定請求書」には、「公衆用道路等の場合は、合計価額に30/100を乗じてください。」との文言があります。ですので、近傍宅地で出た価格に地積を乗じ、その合計額に100分の30を乗じることになります。
そして、この「100分の30を乗じる」取り扱いの根拠は、
「不動産登記の登録免許税課税標準価額の認定基準について(法務局依命通達)
固定資産評価格のないものについては、近傍類似の土地の固定資産評価格を参考として定める額。ただし、公衆用道路については、近傍宅地の価の100分の30に相当する価格を認定基準とする。」ということです。
ここで「??」となった方もいるかもしれません。なぜなら、法務局に提出する「評価のない土地の課税標準価額の認定請求書」には、「公衆用道路等の場合は、合計価額に30/100を乗じてください。」とあり、通達では「ただし、公衆用道路については、近傍宅地の価の100分の30に相当する価格を認定基準とする。」とあり、通達では、近傍宅地で100分の30を乗じるのは、公衆用道路のみと読めます。この点については、調査続行です。実際の取り扱いは、私がかかわった法務局では、公衆用道路も用悪水路も同じく取り扱われています。
さて、保安林の近傍地(山林)の価格を用いた場合には➁の価格をそのまま使うことになります。宅地に比べて山林の方が評価価格が安くなるためだと考えます。しかし、上記同様、近傍宅地の価格をもちいて、算出額に100分の30を乗じる取り扱いの場合もあります。
まずは、ご自身で登記申請される際には、法務局の窓口に相談してください。
そして、算出された課税標準の価額の千円未満の数字を切り捨てます。その数値に、相続の場合、1000分の4を乗じ、100円未満の数字を切り捨てた値が登録免許税となります。
(例)算出された課税標準の価額:4,567,890円
→4,567,000円 これに1000分の4を乗じる。
計算結果は18,268円となるので、登録免許税は18,200円となります。
3.まとめ
「評価額のない土地の課税価格」をどのように計算の根拠とするのかについて法令では定まっていません。各法務局がその決定権限を有しています(登録免許税法附則第7条→登録免許税法施行令附則3項、4項)。「登録免許税課税標準価額認定基準」を設けている法務局もあるようです。しかし、当事務所管轄の高松法務局では、高松市については「評価のない土地の課税標準価額の認定請求書」の提出により、対応していただけます。高松市以外では、各役場が近傍宅地等の価格を証明しているという取り扱いになっています。
各役場で証明事項があっても、登記を申請した後、法務局側でダメとなると、登録免許税の決定権限は法務局にありますので、無駄足になる可能性があります。ですので、まずは、最寄りの管轄法務局に問い合わせるのが得策かと考えます。
また、租税特別措置法第84条の2の3第2項による、相続登記で評価100万円以下の土地については非課税となるため、「評価のない土地なんて対象外だろ」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、墓地のように登録免許税法であらかじめ非課税が示されているもの以外は、「100万円以下であることを証明」する必要がありますので、必ず評価額の確定をする必要があります。
詳しく知りたい方は、法務局の窓口又は、司法書士にご相談ください。
4.まとめ2
先日、とある資料を拝見しました。そこには、明確な基準が記載されていましたが、「見るだけ」許されました。あくまで、私の所在地の取り扱いであり、他県の場合には、法務局に必ず問い合わせをしてください。
①公衆用道路についての取り扱い
法務局に「評価のない土地の課税標準価額の認定請求書」を提出して、近傍宅地の金額を算出していただきます。そして、「㎡単価×面積」で算出した価格に100分の30をかける取り扱いとなります。
➁用悪水路、用水路等についての取り扱い
法務局に「評価のない土地の課税標準価額の認定請求書」を提出すると、隣接地の評価額を記載していただけると思いますので、「㎡単価×面積」で算出した価格に100分の30をかける取り扱いとなります。
※なぜ100分の30をかけるのかについて、評価のない土地については、処分が困難で実質利用用途に乏しいケースが多いことから、そのままでは価額が高く出すぎるため、このような取り扱いをしているとのことです。
③保安林についての取り扱い
近傍の山林(近傍類似地)の価格から、「㎡単価×面積」で算出した価格で評価します。
※同じ山林ということで、保安林については100分の30を乗じる取り扱いはしていないようです。
インターネット上では、いろいろな取り扱いが記載されており、どれが正しいのか判断できませんでしたが、今回の調査で私の管轄での取り扱いについては、上記の取り扱いであることがわかりました。インターネット上で、なぜ統一的な取り扱いが異なるのかについては、各管轄法務局により、取り扱いが異なっている可能性がありますので、必ず、申請前に法務局に問い合わせ、取り扱い方法について確認してください。
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