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令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記義務化をわかりやすく解説)

2023年12月20日

令和6年4月1日より始まる相続登記義務化ですが、「義務化」の文字で漠然と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、司法書士がわかりやすく解説いたします。相続登記義務化の概要と、今回の義務化の対象範囲、罰則である10万円以下の過料と罰則を免れる条件などについてお話をしていきたいと思います。

目次

1.はじめに

2.改正前の相続登記について

3.相続登記義務化の内容について

4.相続人申告登記について

5.過去の相続については?

6.相続登記に係る実費

7.まとめ(司法書士への報酬等)


1.はじめに

 2024年(令和6年)4月1日に、相続登記が義務化されます。不動産を相続したことを知ったときから、3年以内に相続登記をしなければ、「10万円以下の過料」が科せられます。

 また、2026年4月までに、「住所や氏名の変更」があったときも、2年以内に変更登記をしなければ、「5万円以下の過料」を課せられます。(法務局2022年12月27日発表では、施行日は今後決定されます。)

というのが概要です。

2.改正前の相続登記について

 改正前だと相続登記は義務ではありませんでした。このため、相続登記が放置され何世代にもわたり相続が発生した場合、相続人の人数が増え特定するために相当の時間を費やす、もしくは特定できないといった状態が発生しています。この状態になりますと、不動産を処分や管理しようと思っても、それができないといったことが発生してしまうことになります。

3.相続登記義務化の内容について

 相続登記が実施できていない不動産について相続登記を推進するために今回の改正となりました。

 「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知ったときから3年以内に相続登記」となっています。

  相続人に対する遺贈・相続させる旨の遺言がある場合でも同様に3年以内に相続登記をしなければ過料の対象となります。

  また、遺産分割協議がまとまっていなくても、法定相続分での登記が必要となりますが、この場合、法定相続分による相続登記を免れる方法がありますので、次に述べます。

4.相続人申告登記について

 「相続人申告登記」とは、登記官に対し、「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」 もしくは「自らが当該所有権の登記名義人の相 続人である旨」を申し出ることにより、登記官 が職権で当該申し出をした者の氏名および住所 等を所有権の登記に付記する制度です。

 実際に、相続人申告登記をした場合の登記簿では、以下のように表示されることになります。

 この制度は、相続人のうち一人が相続人申告登記をした場合であっても、その効果は他の相続人にまで及びません。よって、一人ずつ申し出をする必要があります。相続人のうちの一人が相続人申告登記をすれば、他の相続人についても、あわせて「申出がされたものとみなすべきでは」、と議論はされたようですが、詳細な戸籍謄本等の提出は求めず、申し出をした人の氏名、住所等を付記するにとどめる簡単な制度にするという制度趣旨から、個人単位での申出が必要になりました。ただし、他の相続人から委任を受け、代理人として代表者1名が全ての相続人全員分の申し出を行うことは可能です。この申し出につきましては、法務局に収める申請費用はかかりません。

 この申出により、相続を原因とする所有権移転登記を申請する義務を履行したものと見なされます。しかし、この状態のままでは、当該不動産を売買で処分することはできませんので、注意が必要です。最終的には、遺産分割協議を経て、当該不動産の所有者を確定させて後に相続登記をすることが必要になってきます。

5.過去の相続については?

 相続相談で、すでに相続が発生しているものについてのご質問がよくありますのでご説明いたします。

 結論から言いますと、「過去の発生した相続についても今回の改正は適用」になります。

「(附則案 経過措置)第五条六項 新不動産登記方第七六条の二の規定は、第二号施行期日前に所有権の登記名義人について相続の開始があった場合についても、適用する。(以下省略)」

「(附則 経過措置)第五条六項 施行日前に所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は①自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日②施行日のいずれか遅い日から3年以内に所有権の移転の登記を申請しなければならない」

 つまり、相続登記義務化前に、すでに相続が発生し相続による名義変更の登記をしていない不動産についても、施行日(2024年4月1日)から3年以内に相続登記をする義務が発生することになります。

6.相続登記に係る実費

 ①登録免許税

  登記する際に、不動産の評価額の1000分の4の収入印紙をが必要です。

 ➁登記情報閲覧

  システムから、現状の登記簿の内容を確認します。不動産の数×332円

 ③登記事項証明書

  登記完了後、取得して変更を確認します。不動産の数×600円

 ④戸籍謄本・住民票等

  役所に支払います。手数料の価格は役所により異なります。

 ➄公図、名寄帳

  相続対象の不動産に漏れがないかを確認するために取得することがあります。

  公図 1枚664円(システムから司法書士が取得)、名寄帳(役所で取得) 1通350円(高松市役所)

 ⑥評価証明書

  相続登記をするための登録免許税の計算のために評価額を使用します。

  評価証明書(役所で取得) 1通350円(高松市役所)※所有の場合と共有の場合は、それぞれに発行されます。

7.まとめ

 2024年4月1日から相続登記が義務化になり、相続登記を怠った者には、10万円以下の過料に処されます。遺産分割協議が長引くなどの理由がある場合には、「相続人申告登記制度」を利用して、3年以内の相続登記義務を回避することはできますが、そのままでは処分等ができないため最終的には遺産分割協議を経て(または法定相続分の共有で)相続登記をすることになります。

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