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令和6年4月1日相続登記義務化(満州国・北方領土・樺太で生まれた方の戸籍)

先日、満州国で生まれた方の戸籍を調査することがあり、その際に調査した内容についてお話をしたいと思います。北方領土や樺太で出生された方についても調べましたので、記録として残しておきたいと思います。
目次
1.満州国出生の方の戸籍調査
2.北方領土・樺太出生の方の戸籍調査
3.まとめ
1.満州国出生の方の戸籍調査
満州国(または満洲国)は、かつて存在した国家で、1932年から1945年まで存在しました。正式名称は「満洲帝国」で、日本によって中国東北部の満洲地域に建国されました。
第二次世界大戦が進む中、1945年の敗戦に伴い、満州国は崩壊し、溥儀は戦犯として起訴されました。中国東北部は再び中華民国(中華人民共和国の前身)の統治下に戻りました。
満州国に駐在した日本人は、本土に本籍地を置いたまま活動をしていた ため、「満州の戸籍」というのは実はないのです。 当時は、満州国の全権大使に出生を届けると、本土のその家の役場に通知がいき、その家 の戸籍に入る手続きが取られていました。
つまり、日本に置いていた本籍地で、満州国で生まれた方の戸籍も取得可能です。
実務上でも、特に問題なく戸籍を取得することができました。
戸籍には、「昭和〇年〇月〇日満洲国東安省東安市東安陸軍官舎〇の〇で出生父A届出同年〇月〇日在満洲国特命全権大使受附同月〇日送付入籍」と記載されていました。

2.北方領土・樺太出生の方の戸籍調査
①北方領土
戦前、北方領土で保管されていた戸籍・除籍の一部及び戸籍・除籍の副本の一部などにつきましては、現在、釧路地方法務局根室支局で保管されていますので、こちらに請求することで取得可能です。ちなみに無料で取得できるみたいです。
※地図を見ると、なぜ根室に保管されていたかがわかりますね。
➁樺太
戸籍のほとんどが戦乱により滅失しているみたいです。一部については、「外務省アジア大洋州局地域政策課」に保管されており、その写しを請求することができます。また、保管されていない旧樺太の戸籍については、「保管していない旨の証明」を交付してもらうことができます。

実務としては、旧樺太に本籍があった被相続人について遡る必要があるときは、外務省に戸籍を申請し、戸籍が保管されていないときは、「保管していない旨の証明」を取得します。こちらも無料で取得できます。保管していないことの証明に加え、他の内地の戸籍滅失同様に、相続人全員の「他に相続人がいないことの証明書(遺産分割協議書に併記可)」と印鑑証明書を添付することになります。
3.まとめ
初めに被相続人の戸籍に「満州国出生」の文字を見たときは、いったいどのように調査をすればいいのかわかりませんでしたが、調べていくうちに、戸籍の記録方法について詳細がわかりましたので、何とか調査を終えることができました。普通の戸籍の調査とあまり差はありませんでした。
以前、以前戦時中に疎開した先で爆撃にあい、戸籍そのものが滅失している場合があり、この時は、「滅失証明書」を市役所から発行していただき、その後の登記の際には、「他に相続人がいないことの証明」書と印鑑証明書を添付して登記をした経験があります。
樺太や北方領土で戸籍がない場合にも、同じような手順で添付書類を作成することになることがわかりました。北方領土については、釧路法務局根室支局で保管されていますので、おそらく北海道の根室に保管されてあったのかもしれませんが、樺太の方は、その土地で保管していたため、戦争後のソビエトの侵攻で滅失してしまったのでしょう。
戸籍をたどれば、改めて歴史を垣間見ることができます。その土地では、その方たちの普通の生活があったという痕跡がよくわかりました。
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