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令和6年4月1日相続登記義務化へ(義務化の罰則の過料について)

2023年12月07日

令和6年4月1日に始まる相続登記義務化ですが、「義務化」というくらいですので、罰則が用意されています。罰則は「最大10万円以下の過料」となりますが、相続登記が発生してから、いつまでにすれば過料は免れるのか、また、法務局が示した過料を免れる基準などをお話ししたいと思います。

目次

1.相続登記義務化とは

2.義務化の罰則

3.最大10万円以下の過料の適用基準

4.まとめ


1.相続登記義務化とは

2024年4月1日より、「相続登記義務化」が始まります。いままで、相続登記は義務化されていませんでした。それにより、東日本大震災後の復興の際、所有者が不明の土地があるため、復興作業が難航したということがあり、法改正も含め、「相続登記義務化」の検討が始まりました。義務化という言葉通り、罰則が存在します。

「(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。」法務省HP引用

3年間という猶予期間は設けられていますが、遺産分割をその間していないリスクとして、相続発生後にさらに相続人のどなたかが亡くなった場合には、相続関係が複雑化することなどが挙げられます。早めに相続登記をしておくことが重要と考えます。

2.義務化の罰則

 正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

3.最大10万円以下の過料の適用基準

 ※正当な理由の例

 (1)相続登記を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース

 (2)遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース

 (3)申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース

 (4)経済的に困窮している場合

 などが挙げられています。

4.まとめ

 相続登記義務化の過料を免れる方法としては、まずは法務省が例示しているような事情がある場合が考えられます。つまり、遺産分割や遺言内容で争っている場合と、経済的に困窮している場合が挙げられていました。

 他にも、「相続人申告登記」をすることが考えられます。

 「相続人申告登記」とは、登記官に対し、「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」 もしくは「自らが当該所有権の登記名義人の相 続人である旨」を申し出ることにより、登記官 が職権(登記官が登記をすること)で当該申し出をした者の氏名および住所 等を所有権の登記に付記する制度です。

 実際に、相続人申告登記をした場合の登記簿では、以下のように表示されることになります。

(画像)

 この制度は、相続人のうち一人が相続人申告登記をした場合であっても、その効果は他の相続人にまで及びません。よって、一人ずつ申し出をする必要があります。相続人のうちの一人が相続人申告登記をすれば、他の相続人についても、あわせて「申出がされたものとみなすべきでは」、と議論はされたようですが、詳細な戸籍謄本等の提出は求めず、申し出をした人の氏名、住所等を付記するにとどめる簡単な制度にするという制度趣旨から、個人単位での申出が必要になりました。ただし、他の相続人から委任を受け、代理人として代表者1名が全ての相続人全員分の申し出を行うことは可能です。この申し出につきましては、法務局に収める申請費用はかかりません。

 この申出により、相続を原因とする所有権移転登記を申請する義務を履行したものと見なされます。しかし、この状態のままでは、相続登記義務化の過料を免れることはできますが、当該不動産を売買で処分することはできませんので注意が必要です。最終的には、遺産分割協議を経て、当該不動産の所有者を確定させて後に相続登記をすることが必要になってきます。

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