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【第4回】負動産の悲劇──不要な土地を子に押しつけないために

相続の現場で近年、急増しているのが「負動産(ふどうさん)」の問題です。空き家や山林、使い道のない遠方の土地など、相続人が「いらない」と思う不動産が財産に含まれていた場合、相続放棄をするか、不要な土地の処分に頭を悩ませるケースが後を絶ちません。
被相続人にとっては「価値がある」と信じて残した土地が、実は税金や管理コストばかりかかる"お荷物"だった――そんな「善意の相続」が子どもたちの負担になる事例も珍しくありません。
本記事では、負動産とは何か、どんなリスクがあるのか、そして生前にできる対策について、わかりやすく解説します。
【目次】
- 負動産とは?──価値ではなく負債となる不動産
- なぜ今、負動産が急増しているのか
- 負動産が相続人にもたらす現実的な負担
- よくあるトラブル事例
- 生前対策①:土地を相続させない選択肢
- 生前対策②:処分・利活用・寄附の検討
- まとめ:本当に"残したい"財産とは何か
1. 負動産とは?──価値ではなく負債となる不動産

「負動産」とは、資産価値がほとんどない、またはマイナスである不動産を指します。
たとえば以下のような物件が売却困難、管理費が発生)
- 空き家(老朽化、近隣への迷惑)
- 固定資産税はかかるが収益を生まない土地
- 再建築不可・接道義務を満たさない土地
こうした不動産は、相続しても売れず、使えず、管理コストや税金がかかるため、実質的に「負債」となってしまうのです。
2. なぜ今、負動産が急増しているのか
日本では少子高齢化と人口減少が進み、地方や郊外の不動産の需要が著しく低下しています。
一方、相続は避けられないため、使い道のない土地を受け継ぐ人が増加しています。
- 都市圏以外では地価が下がり続けている
- 空き家対策特別措置法により、放置すると固定資産税が6倍になるケースも
- 相続人が遠方に住んでいて現地管理ができない
これらの要因が重なり、「相続したくない不動産」が各地に広がっています。
3. 負動産が相続人にもたらす現実的な負担

相続した不動産には、たとえ収益が出ていなくても以下のような負担が発生します。
- 固定資産税や都市計画税の支払い義務
- 定期的な草刈りや老朽化による補修義務
- 隣地との境界問題や不法投棄への対応
- 空き家倒壊による近隣トラブル、損害賠償責任
また、売却しようとしても買い手が見つからず、結局「相続放棄を選ぶしかない」といったケースも少なくありません。
4. よくあるトラブル事例
【事例】
地方に実家があるAさんは、両親の死後にその家と土地を相続。誰も住まなくなった家は急速に劣化し、近隣住民から「瓦が落ちそう」「蚊が大量発生している」と苦情が。
自治体からは是正勧告が届き、解体費用と更地にした後の高額な固定資産税が発生。結果、相続によって数百万円の出費が必要となり、「相続しなければよかった」と後悔することに。
5. 生前対策①:土地を相続させない選択肢

親が元気なうちにできることとして、まず考えたいのはその土地を本当に相続させる必要があるのかという点です。
- 子どもと話し合い、土地の維持・利用の意思があるか確認
- 相続人が引き取りを望まない場合、他の財産で代替できるかを検討
- 遺言書を作成して、土地を相続させない指定も可能
使い道のない土地を残すより、現金や売却済み資産として相続させた方が円満なケースも多いです。
6. 生前対策②:処分・利活用・寄附の検討

もし土地を子どもに残さないと決めた場合、生前に処分や利活用を考えることが重要です。
- 早めに売却(多少値下がりしていても)を検討
- 解体・更地化して月極駐車場などに活用
- 地方自治体や公益法人への寄附(ただし受け入れ条件あり)
- 2023年に始まった「相続土地国庫帰属制度」を検討(一定の条件で国が引き取る)
土地は"持っているだけでお金がかかる"時代だからこそ、持ち続けるべきか手放すべきかの判断が必要です。
7. まとめ:本当に"残したい"財産とは何か
相続人のためを思って残したはずの土地が、逆に負担と混乱を生む――それが負動産の怖さです。
形式的には"資産"であっても、管理・維持・処分の手間やコストまで見越すことが大切です。
相続とは、財産を引き継ぐことだけでなく、家族の未来の負担まで含めて考える行為です。
不要な土地を残すのではなく、「本当に残したい価値ある財産とは何か」を見極めることが、次の世代への最良のギフトになるでしょう。

次回は最終回「家族信託の誤解──"信頼できる人に任せれば安心"ではない」で、信頼を前提にした家族信託のリスクと注意点について掘り下げていきます。
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