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【第3回】戸籍からでは分からない相続人 ~ 家族関係に潜む盲点 ~ ~養子縁組、非嫡出子、認知、代襲相続…戸籍だけでは見えない“相続の地雷”とは?~

相続人の範囲を確定するためには、戸籍謄本を取得して法定相続人を確認する作業が不可欠です。
しかし、戸籍を集めるだけでは「完全に把握できた」とは限りません。なぜなら、戸籍上は表れない、あるいは見落とされやすい相続関係が存在するからです。
養子縁組、認知、非嫡出子、代襲相続など、見落としがちな相続関係を把握するには、戸籍の知識と"現場感覚"が必要です。
この記事では、相続人調査において注意すべき「戸籍からでは分からない盲点」について、司法書士の視点から具体的に解説します。
■ 目次
- 戸籍に現れにくい相続関係とは?
- 養子縁組と戸籍の"誤解"
- 非嫡出子と「認知」の問題
- 代襲相続と再代襲の落とし穴
- 戸籍の"記載ミス"や"解釈違い"によるトラブル
- 戸籍+ヒアリングで見えてくるもの
- 相続人調査で気をつけるべきチェックポイント
- まとめ:戸籍は「万能」ではない
- アイリス国際司法書士事務所からのご案内(CTA)
1. 戸籍に現れにくい相続関係とは?

戸籍制度は法的な家族関係を記録する制度ですが、すべてを表すものではありません。
以下のようなケースでは、戸籍を見ただけでは相続人の有無や立場を見誤る可能性があります:
- 生まれてすぐに養子に出されたが、出生戸籍に記録が残っている
- 認知されたが、その記録が別戸籍にしか残っていない
- 孫が代襲相続する場合の親の死亡が見えづらい
- 相続人のうち誰かがすでに亡くなっており、再代襲のケースとなっている
2. 養子縁組と戸籍の"誤解"
養子縁組は戸籍に明記されますが、「養子縁組=法定相続人になる」と思い込むのは危険です。
たとえば:
- 親の養子になったが、すでに死亡している場合(代襲が発生する)
- 養子縁組の効力が認められなかったケース(年齢制限や意思の欠如)
また、被相続人が誰かの養子であった場合、その親(養親)からの相続が発生する可能性もあるため、視点を広げる必要があります。普通養子は、実親及び養親全員の相続人になります。
3. 非嫡出子と「認知」の問題

非嫡出子(婚姻外の子)は、認知があれば法定相続人になります。
ただし、認知が戸籍に記載されているかどうかは、本籍や記載タイミングによって確認が難しいケースも。
特に注意が必要なのは、死亡後の死後認知や、相続開始後に認知無効を争われるようなケースです。
一見、相続人がいないように見えても、実は認知された子がいた、ということは現場でもよくある話です。
4. 代襲相続と再代襲の落とし穴
被相続人の子がすでに死亡している場合、その子の子(=孫)が代襲相続人になります。
さらに、代襲者も死亡していた場合は、その子(=曾孫)が再代襲相続することもあります。
ところが、戸籍を丁寧に見ないとこの関係が分からないことが多いのです。
出生順に複数の戸籍を読み解き、「誰が亡くなっているか」「その人に子がいるか」まで正確に追わなければ、正しい相続人を確定できません。
5. 戸籍の"記載ミス"や"解釈違い"によるトラブル

戸籍も「人間が作る書類」ですから、稀に記載ミスや不明瞭な記述があります。
実際のトラブル例:
- 名前の漢字の一部が異なっていたため、別人と判断されて相続漏れ
- 婚姻日と出生日が前後していることによる嫡出・非嫡出の誤解
- 養子縁組の事実が転籍後の戸籍に転記されていなかった
このような場合、法務局側から補足説明を求められることもあり、時間と労力がかかります。
※私自身も数回、戸籍の訂正について話が合ったことがあります。同一の役場での話ならいいのですが、管轄をまたぐと、お互いの記載が正しいと追って譲らず、法務局の審査で指摘され修正をするにもできず大変な思いをした先輩司法書士もいます。
6. 戸籍+ヒアリングで見えてくるもの
戸籍だけでは分からない情報は、やはり家族からのヒアリングで補う必要があります。
- 昔から親族間で「●●さんは実の子ではないらしい」と言われていた
- 「実は前の結婚で子どもがいた」というカミングアウト
- 養子縁組の事実が親族にも知らされていなかった
こうした話がヒントになって、戸籍の読み直しにつながることも珍しくありません。
7. 相続人調査で気をつけるべきチェックポイント

- 戸籍のつながりは出生までたどれているか?
- 転籍地を漏れなく取得できているか?
- 認知、養子縁組の有無を見落としていないか?
- 代襲相続が発生する関係に注意しているか?
- 家族の証言を戸籍と照らし合わせて矛盾がないか?
8. まとめ:戸籍は「万能」ではない
戸籍により、相続人の調査をすることはできますが、戸籍がすでに滅失しているケースなどでは、戸籍による証明ができない場合も数多く存在します。
また、見落としがあれば登記ができず、後に相続トラブルに発展する可能性もあるため、専門家による多角的なチェックが大切です。
9. アイリス国際司法書士事務所からのご案内(CTA)
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司法書士・行政書士 橋本大輔
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