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【第3回】信頼される専門家になるために ~正論だけでは築けない“相談者との関係性”~

「専門的な知識もあるし、誠実に答えている。それなのに、なぜか信頼されていないように感じる…」。
そんな違和感を抱いたことはありませんか?
司法書士をはじめとした士業や専門家は、正しい情報を伝えることが仕事の根幹です。
しかし、それだけでは相談者との信頼関係を築くことはできません。
このシリーズでは、
第1回「正論が届かない理由」、
第2回「伝える順番を変えるテクニック」、
とお届けしてきましたが、最終回となる第3回では、「信頼される専門家」になるために必要な姿勢・言葉・距離感について掘り下げていきます。
「知識と信頼は別物」。その現実をふまえたうえで、日々の相談対応に活かせるヒントをご紹介します。
■目次
- 専門知識は"信頼の前提"でしかない
- 信頼される人が自然と使っている言葉の特徴
- 「距離感の設計」が関係性を左右する
- 正論の"後"に求められるものとは
- 知識と信頼のバランスを取る実践的な方法
- まとめ:相談者の「心の窓」が開いたときが、本当のスタート
1. 専門知識は"信頼の前提"でしかない

専門家として一定の知識や経験があることは、「信頼されるための条件」にはなります。
しかし、それはあくまでスタート地点に過ぎないのです。
知識があるから信頼されるのではなく、「この人なら、自分の話をちゃんと受け止めてくれる」と感じてもらえるかどうか。
その印象が、最初の5分の応対で決まってしまうこともあります。
つまり、信頼は「知識の多寡」ではなく、**「自分ごととして受け止めてくれる人かどうか」**で判断されるのです。
2. 信頼される人が自然と使っている言葉の特徴
信頼される専門家が共通して使っている言葉があります。それは、
- 「〇〇してもいいかもしれませんね」
- 「こういう見方もあると思います」
- 「私の考えですが、参考にしてみてください」
一見、曖昧な言い回しに思えるかもしれません。
しかし、これらはすべて、相談者に「選ぶ余地」を残した言葉です。
正論や結論を押しつけるのではなく、「あなたにとってどうか」という視点を尊重する姿勢。
この"余白"が、相談者の安心感につながります。
3. 「距離感の設計」が関係性を左右する

専門家と相談者の関係において、距離感の設計は非常に重要です。
近すぎると「馴れ合い」に、遠すぎると「冷たい人」に映ることもあります。
私が意識しているのは、「感情の部分は親身に、判断の部分は中立に」という二重構造です。
たとえば、
- 感情を受け止めるときは、「それはつらかったですね」としっかり寄り添う。
- しかし、結論を導くときには、「ご自身にとってどうするのが納得できるか、一緒に考えていきましょう」と、一歩引いて伝える。
この**"寄り添いと客観の両立"**が、ちょうどよい距離感をつくります。
4. 正論の"後"に求められるものとは
前回まででお話ししたように、正論は"後出し"することで効果的になります。
しかし、正論を伝えた「その後」がもっとも重要なフェーズです。
そこで必要なのは、**"選択肢の整理"と"相談者の気持ちの確認"**です。
「〇〇という方法が法的にはあります。ですが、ご自身としてどう感じますか?」
「ご事情をふまえると、こちらの選択肢もあり得ます」
そうしたやりとりを通して、「自分で決めた」と感じられるプロセスをつくること。
それが信頼を生む土台になります。
5. 知識と信頼のバランスを取る実践的な方法

信頼を得るために、以下の3つのポイントを実践しています。
①正解を焦って言わない
あえて沈黙の時間をとることで、「しっかり考えてくれている」という印象を与えます。
②"わからない"と言う勇気を持つ
即答できない場合、「確認してお伝えします」と言うことが、誠実さを伝えます。
③相談者の「解釈の余地」を残す
「こうでなければならない」ではなく、「こういう見方もあります」という表現が、信頼の伸びしろを生みます。
6. まとめ:相談者の「心の窓」が開いたときが、本当のスタート
正論は武器になりますが、それは相手の"心の窓"が開いているときだけ。
その窓を開くのは、知識ではなく「関心」と「姿勢」です。
相談者にとって、司法書士や専門家は人生の一場面でしかありません。
しかしその短い時間の中でも、「この人と話してよかった」と思ってもらえるかどうかが、プロとしての分かれ道になります。
「正論+共感+距離感」。この3つの視点を意識することで、
正しいだけでは終わらない、信頼される専門家としての対応力が磨かれていくと感じています。

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