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【第3回】バブル期の持ち家信仰と個人債務の拡大

1980年代後半、日本は未曾有の好景気「バブル経済」に突入し、人々の間には「持ち家こそが成功の証」という信仰が広がりました。この背景には、土地神話や住宅ローンの普及、税制優遇などがありましたが、無理なローンを組んで購入した住宅は、後に多くの家庭に経済的負担を残す結果となりました。本記事では、バブル期の持ち家信仰がいかにして個人債務を拡大させ、現在の相続や空き家問題の伏線となったのかを掘り下げます。
■目次
- バブル経済と土地神話の誕生
- 「持ち家=成功」という価値観の定着
- 住宅ローンと個人債務の拡大
- バブル崩壊後の資産価値下落と生活苦
- 相続と空き家問題への伏線
1.バブル経済と土地神話の誕生

1980年代、日本は株式市場と不動産市場の急激な高騰に沸いていました。都市部を中心に地価は連日上昇し、「土地は値下がりしない」「持っているだけで資産が増える」といった土地神話が生まれました。この幻想が企業だけでなく一般家庭にも波及し、「今のうちに家を買わなければ損だ」という集団心理が形成されていきます。
2.「持ち家=成功」という価値観の定着

戦後の住宅難を背景に、持ち家を持つことは長らく「豊かさ」や「安定」の象徴とされてきましたが、バブル期にはこれが極端な形で表れます。企業も住宅取得支援を打ち出し、団塊ジュニア世代を中心に一斉にマイホームを目指す動きが加速しました。「持ち家があって一人前」「借家暮らしは負け組」といった風潮も広まり、住宅購入は一種の社会的義務のように捉えられていたのです。
3.住宅ローンと個人債務の拡大
このような価値観のなかで、多くの家庭が収入に見合わない高額な住宅を購入し、長期かつ高額な住宅ローンを背負うことになります。当時の金融機関は審査を緩くし、「年収の7倍ローン」などの名のもとに、多額の借入を推奨していました。結果として、家計の大部分をローン返済に充てる「ローン奴隷」のような生活が日常化していきました。
4.バブル崩壊後の資産価値下落と生活苦
1991年のバブル崩壊後、地価は急落し、当初の購入価格を大きく下回る住宅が続出しました。ローン残高のほうが家の価値を上回る「オーバーローン」の状態に陥る家庭も多く、ローンを返済し続けても資産は残らないという事態が起きました。住宅の価値が下がり続けるなかで、離婚や失業、病気などのライフイベントによってローンの支払いが困難になる人も増加し、中には自殺に至るケースも報道されました。
5.相続と空き家問題への伏線

このようにして建てられた家々は、建物としての価値も時間とともに下落し、子世代が相続する際には「価値のない家」「売れない家」「処分に費用がかかる家」として扱われるようになります。その結果、相続人が放棄するケースが増え、誰も住まないまま放置された空き家が全国に拡大していきます。バブル期の持ち家信仰と過剰な住宅取得が、数十年後の日本社会に深刻な空き家問題という形で影を落としているのです。
■まとめ
バブル期における持ち家信仰は、多くの家庭に「豊かさ」という一時的な幻想をもたらしましたが、その裏では無理なローンと資産価値の下落により、長期にわたる経済的苦難が生まれました。そしてその影響は、世代をまたいで「相続できない住宅」「管理できない不動産」「空き家」という社会問題へと変化しています。次回は、こうしたバブル崩壊後の資産劣化と、それに伴う高齢化・相続放棄の問題について取り上げます。

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