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【第2回】農地改革・財閥解体と財産分散の加速

戦後の日本社会において、財産のあり方は劇的に変化しました。GHQの主導による農地改革や財閥解体は、富の集中を排し、個々人への分散を意図した施策でしたが、その結果として、かつての地主層や資産家層は急速に衰退していきました。本記事では、これらの政策がもたらした財産構造の変化と、現代の相続問題への影響について掘り下げます。
■目次
- 農地改革の実施と地主制度の崩壊
- 財閥解体と企業資産の分散
- 所有から利用への価値転換
- 資産の小規模化と相続への影響
- 長期的な視点から見た財産分散の副作用
1.農地改革の実施と地主制度の崩壊

1947年からGHQの指導により断行された農地改革は、地主が所有していた農地を国家が買収し、小作人に売却・払い下げるという形で実施されました。これにより、全国の農地の約80%が小作地であった状況が大きく転換され、多くの小作人が「自作農」になった一方、地主層は土地資産の多くを失いました。世襲によって土地を守り続けてきた家々は、この改革によって経済的基盤を喪失し、家督制度の消失とともに、経済的にも「家の存続」が困難な時代へと突入していきます。
2.財閥解体と企業資産の分散
同様に、GHQの占領政策の一環として財閥解体が進められました。三井、三菱、住友といった大財閥が保有していた株式や企業支配権は強制的に解体され、企業の株式は広く一般市民や従業員に分配されました。これにより、企業経営が家単位や一族による継承から切り離され、個別株主による支配構造へと移行します。一族経営が途絶えたことで、企業資産の継承も分断され、家を中心とする富の集中はさらに困難になりました。
3.所有から利用への価値転換
農地や企業の「所有」は戦前において権威や安定の象徴でしたが、戦後は「利用」に価値が置かれるようになります。国民の多くがマイホーム取得を夢見るようになり、土地は「家を建てるためのもの」へと変化します。住宅ローンという概念も浸透し、戦後から高度経済成長期にかけて、持ち家信仰が国民の間に根付いていきます。土地を資産として維持するのではなく、個人の生活空間として消費するという価値観の変化が、財産の蓄積よりも消費を促す経済構造を形づくりました。

4.資産の小規模化と相続への影響
このような流れの中で、戦後生まれの世代は、分割された土地や個別住宅という「小さな財産」を保有するにとどまりました。相続の際には、それら小規模資産がさらに細分化されるため、結果として「相続しても使い道がない」「売却もできない」「管理費だけがかかる」といった問題が生じています。特に、地方においてはこの傾向が顕著で、相続放棄や空き家の放置が社会的問題として表面化しています。
5.長期的な視点から見た財産分散の副作用
財産の集中を防ぐという意味で、農地改革や財閥解体はある種の平等を実現しました。しかし、同時に「家」という経済単位が失われ、長期的に富を蓄積・承継する構造が壊れたことで、結果的に現代の日本では、多くの家庭が老後資金や相続問題に苦しんでいます。世代を超えて資産を維持・発展させる仕組みが失われたことは、個々の家族の経済的脆弱性にもつながっています。
■まとめ
農地改革と財閥解体は、日本の戦後民主化における象徴的な政策でしたが、それは同時に「家」と「資産」の解体でもありました。財産は広く分散され、富の集中は防がれたものの、その代償として長期的な視点での安定的な資産承継が難しくなりました。第2回では、そうした背景を概観しましたが、第3回では、バブル期における「持ち家信仰」とその副作用について掘り下げていきます。

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